「あなたの名義の口座が、犯罪に使われています」
ある日突然、警察官を名乗る人物からこんな電話がかかってきたら、あなたは冷静でいられるでしょうか。
いま、警察官をかたる「ニセ警察詐欺」の被害が急増しています。
警察庁の発表によると、2025年の認知件数は1万件を超え、被害額は約985億円。特殊詐欺全体の被害額の約7割をこの手口が占めるまでになりました。
1件あたりの平均被害額は約900万円と、被害の深刻さも突出しています。
「オレオレ詐欺と同じで、だまされるのは高齢者でしょ?」と思った方こそ、注意が必要です。
この詐欺は20代・30代の被害が多いという、これまでの特殊詐欺と大きく異なる特徴があるのです。
今回は、ニセ警察詐欺の手口と、本物の警察との見分け方、そして電話・訪問それぞれへの備えを解説します。
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「ニセ警察詐欺」とは?
ニセ警察詐欺とは、警察官や検察官をかたって「あなたが犯罪に関与した疑いがある」と不安をあおり、「捜査」や「資産の確認」を名目にお金をだまし取る手口です。
かつての特殊詐欺は「息子を装って泣きつく」「還付金がある」といった手口が主流でしたが、ニセ警察詐欺は「あなた自身が容疑者になっている」と迫ってくるのが特徴。
身に覚えがないからこそ「疑いを晴らさなければ」という心理が働き、指示に従ってしまうのです。

手口の流れを知っておこう
典型的な流れは、おおよそ次のとおりです。
ステップ1: 突然の電話は「+」から始まる国際電話
多くのケースで、最初の接触は「+1」「+44」など+から始まる国際電話番号からの着信です。
自動音声で「あなたの携帯電話が2時間後に使えなくなります」「口座が犯罪に使われています」などと流れ、オペレーターや「警察官」につながれます。
ステップ2: LINEのビデオ通話へ誘導される
「捜査に関わる重要な話なので」と、LINEなどの通話アプリに誘導されます。ビデオ通話の画面には制服姿の「警察官」が映り、偽の警察手帳や「逮捕状」の画像を見せられることも。
背景に警察署のような部屋が映り込むなど、演出は年々巧妙になっています。
ステップ3: 「取り調べ」と称して個人情報と資産を聞き出される
「捜査への協力」として、名前、住所、家族構成、そして預金額や口座の情報を細かく聞き出されます。
「捜査情報なので誰にも話さないように」と口止めされるのも定番で、家族や本物の警察に相談する機会を奪われます。
ステップ4: 「資産の保全」名目で送金させられる
最後は「あなたの資産が犯罪資金でないか調べる必要がある」「潔白が証明されれば返金される」などと言われ、指定口座への振り込みや、暗号資産の購入を指示されます。
もちろん、振り込んだお金が戻ってくることはありません。

なぜ20代・30代もだまされるのか
この手口で特徴的なのが、被害者の年齢層です。
「ニセ警察詐欺」の被害は20〜30代に多く、スマホやネットに慣れた世代が次々と被害に遭っています。
理由のひとつは、この世代が「電話で警察とやり取りした経験がない」こと。
本物の警察がどう連絡してくるのかを知らないため、ビデオ通話の制服や手帳を見せられると信じてしまいます。
また、仕事や信用への影響を恐れて「早く疑いを晴らしたい」と焦る心理も利用されます。
「自分は大丈夫」という思い込みは通用しない——これがニセ警察詐欺のいちばん怖いところです。
本物の警察は、絶対にこれをしない
手口がどれだけ巧妙でも、見分けるポイントはシンプルです。本物の警察は、次のことを絶対にしません。
- 電話やLINEなどの通話アプリで「取り調べ」をする
- 電話で預金額や口座の暗証番号を聞く
- 「資産の保全」などの名目でお金を振り込ませる
- 暗号資産の購入を指示する
- 逮捕状や警察手帳の画像をスマホに送って見せる
- 「誰にも話すな」と家族への相談を止める
ひとつでも当てはまったら、それはニセ警察です。少しでも不安を感じたら、いったん電話を切り、警察相談専用電話「#9110」か最寄りの警察署に自分からかけ直して確認しましょう。
「かかってきた電話」ではなく「自分からかけた電話」なら、相手は必ず本物です。
「家に来る」ニセ警察にも備えを
ニセ警察の接触は、電話だけではありません。「あなたのキャッシュカードが不正利用されている。
確認のため預かります」と自宅を訪問してカードをだまし取る手口も発生しています。
電話で不安をあおったあと、「担当の者が伺います」と自宅に人を送り込んでくるケースもあります。
ここで大切なのは、「玄関を開ける前に確認する」という原則です。

- 制服姿でも、すぐにドアを開けない
- インターホンやカメラ越しに所属と名前を確認する
- その場で「#9110」や所属署に電話して、本当に警察官が来ているのか確かめる
- 本物の警察官は、キャッシュカードや現金を預かることは絶対にありません
玄関先にカメラがあれば、開ける前に相手の様子を確認でき、やり取りを録画として残すこともできます。
「録画されている」とわかる家は、ニセ警察に限らず、不審な訪問者にとって近寄りたくない家です。
訪問への備えとして、玄関まわりの防犯カメラやセンサーの導入も検討してみてください。
まとめ
最後に、ニセ警察詐欺から身を守るポイントを5つにまとめます。
- 「+」から始まる国際電話には出ない・かけ直さない
- 警察を名乗る電話でLINEなどのアプリに誘導されたら、その時点で詐欺と判断する
- お金・口座・暗証番号の話が出たら、必ず詐欺。すぐに電話を切る
- 不安なときは自分から「#9110」へ。かかってきた電話の中で解決しようとしない
- 訪問されても玄関を開ける前にカメラ・インターホンで確認し、カードや現金は絶対に渡さない
「警察」という言葉には、思わず従ってしまう力があります。だからこそ、手口を知っておくことが最大の防御です。
この記事の内容を、ぜひご家族——特に一人暮らしのお子さんや、離れて暮らすご両親——にも共有してあげてください。

参考情報
- 警察庁 特殊詐欺対策ページ「SOS47」
- 警察相談専用電話: #9110



