空き巣の多い地域は? データから読む侵入窃盗

空き巣の多い地域は? データから読む侵入窃盗

「人口が多い=犯罪も多い」とは限らない

侵入窃盗の一番多い都道府県はどこでしょう。

以下は、人口密度と侵入窃盗の件数を色分けしたものです。

 

人口密度は侵入窃盗に影響する?|令和5年住宅への侵入窃盗件数が多い地域は?|令和5年

 

これを見ると、多少の差はあるものの「人口=犯罪件数」と言えそうです。人口密度が高く赤い地域と侵入窃盗の件数が多い地域は重なり、大都市を抱える都府県に集中しています。

反対に、一般的に「田舎」と呼ばれる農地や山間部が多い地域では少ない傾向にあるようです。

 

では、こちらの図ではどうでしょうか。

人口比でみる住宅への侵入窃盗|令和5年

 

これは、侵入窃盗の人口に対する比率です。

黄色から赤で塗られた地域では、全国平均よりも高い割合で被害が起きています。これを見ると「被害が都市部に集中しているわけではない」ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 

もちろん、埼玉県、千葉県などすべてのランキングに共通している県もあります。人口が多ければ、犯罪が増えることは言うまでもありません。特に都市圏では、多様な背景を持つ人が生活することから思わぬトラブルも起こりやすいからです。

 

反対に、人口がさほど多いわけではない地域がオレンジで塗られていることに注目して下さい。侵入窃盗の被害に関して言えば、危険なのは都市部に限らないのです。

 

 

 

昼間の人口と夜間の人口

この侵入窃盗という犯罪に限って言えば、〝昼間に家を空ける人口が多い〟ということが、被害増加の要因に挙げられます。

 

実は夜間人口(居住している人数)に対する比率では、東京都のランクは下から数えて五番目です。

これは空き巣に狙われるとされる昼間の時間帯に、東京都では昼間人口(通勤・通学している人口)が増えることが関係しているのではないでしょうか。

反対に近隣の県からは人が減ります。その結果、昼間人口の最も多い東京都よりもその近辺の県が狙われたと考えられます。

 

東京や大阪を中心とした大きな都市圏では、県をまたいでこのような現象が起こります。このことから、地方においても同じことが起こっていると推測できます。

侵入窃盗が多く起きるのは「昼間人口の多い場所の近隣」ということが言えそうです。

 

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今、田舎が狙われている

今、田舎が狙われている|過疎化・高齢化が進んだ地域は防犯対策を

 

そうなると、不思議に思えるのが「岐阜県」「高知県」「山梨県」です。

この三県に共通しているのは何でしょう。人口でいうと岐阜県は17番目と上位にありますが、山梨県は41番目、高知県は45番目です。

 

「人が少ないこと」が原因でしょうか。

岐阜県は人口という点では上位にありますが、面積が広いため人口密度では山梨県と同程度です。しかし、他にも人口が少ない県や人口密度の低い県は多くあります。

そこで、もう一歩「面積」という観点で踏み込んでみたところ、あるデータが見つかりました。それは「森林面積」です。

 

実はこの三県、全体の面積に対する森林の割合「森林率」で上位にあるのです。

 

森林面積の中には林業などで利用されている人工林も含まれますが、開けた住宅地や農地などが少ないことが分かります。また、日本の森林の多くが山間部にあることから、この三県も山がちで高低差のある土地が多いと考えられます。

 

 

人口減少と高齢化のデメリット

侵入窃盗の犯人は、人目に付くことを嫌います。都市部では、監視カメラや他人の目が多いことや防犯意識の高さもあって、思うほどは被害が起きません。

 

市街地などになると人の目は減りますが、外部からの侵入者に敏感な住民が増えます。〝知らない人が歩いていた〟〝いつもとは違う動きをする業者がいた〟という情報は、周りの住民にもあっという間に広がります。

 

変わりゆく「田舎」の安全

いわゆる「田舎」と呼ばれる地域では、この「よそ者に敏感」という点から「犯罪は起きない」「安全だ」と信じられてきました。

しかしそれは、若い層の人数が多く、昼間に出入りする人も多ければこそ成り立っていたことです。過疎化の進んだ集落などでは、思った以上に人の目は減っています。

 

単純に人数が減ったことだけではありません。高齢化によって行動範囲が狭まれば、一人の人間が「見える」範囲は狭くなります。気が付かないうちに目や耳が悪くなり、昔ほど異変に気が付けなくなったということもあるでしょう。

 

さらに、多様性が乏しくなることは住民間の交流を減少させることにつながります。

 

年齢層に幅がある場合は、良いことも悪いことも様々な年代に影響を与えます。そのことで地域におけるコミュニケーションは活発になるものです。

 

ところが、高齢世帯が大半を占める場合、目新しいことは起きにくくなります。お互いが旧知の中であり、多くを語らわずとも心のつながりを保つことができるようになります。

それは穏やかで良いことのように思えますが、外部からの思わぬ侵入者に気付くのが遅れてしまう要因でもあるのです。

 

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地域の高齢化が犯罪率を上げる

高齢化という問題は、防犯の観点から無視することはできません。

前述の「人口密度が低く森林率の高い地域」では、65歳以上の高齢世帯の比率も高くなっています。

 

2024年の4月から5月にかけて起こった強盗事件では、過疎化した山間の集落の、さらに少し離れて点在する住宅が狙われました。

 

住民に被害が出る強盗事件だったため、大きく報道されましたが、侵入窃盗ならどうでしょう。

報道されていないだけで、すでに類似した地域が狙われているのではないでしょうか。もしかしたら、すでに被害は出ているかもしれません。

 

さらに言えば、こうした地域に建つ住宅は単身で住むには広い場合が少なくありません。住民が今もまだ気が付いていない被害もあるのではないでしょうか。

 

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人口の少ない場所こそ対策を

もう一つ、人口の少ない地域の致命的なデメリットがあります。

それは、被害に遭ってもすぐに人が駆けつけられないということです。警察や警備会社に通報したとしても、都市部に比べるとどうしても到着までに時間を要します。

 

集落から離れた場所にある住宅の場合、近隣に助けを求めることもできません。そのことがターゲットになる確率を上げることになっています。

 

これまで、都市部では防犯対策が積極的に進められてきました。ここ十年の推移をみると、東京・大阪・愛知などでは侵入窃盗の件数が八割も減少しています。

 

一方で犯罪が少ないだろうと誰もが想像してしまう地域での減少率は、低い値に留まってしまっています。こういった地域でこそ、防犯対策を進めることが必要だと言えそうです。

 

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「近所に悪い人はいない」を改めて!

防犯意識を持つことが何より大事

「うちは田舎だから」「みんな知っているから」「泥棒なんていない」と思っているなら、考え直してください。

 

かつての「田舎」には確かに関係者以外は訪れませんでした。しかし今では、交通網の発達で誰でも遠くへ出かけられる時代です。

 

それは国内の移動だけに限りません。海外から訪れる観光客も増えていますし、移住者も多くなりました。

グローバル化することは、便利に思えます。外国の人と知り合うことはお互いの文化を知り、自分たちの成長にもつながります。

ただ、多様な人がいるということは、自分たちの当たり前が通用しなくなるということでもあります。

 

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あなたの家は世界中から見ることができる

インターネットを使えば簡単に地図を見ることもできます。航空写真やストリートビューなどで実際に現地を訪れなくても、どんな家がどんな場所に建っているか、把握することができます。

 

自分の家がどんなふうに掲載されているか、見てみたことがありますか?

まだだという方は、ぜひ見てみてください。建物の外観や雰囲気だけで、どういった人たちが住んでいるのか、なんとなくわかってきませんか?

細い道がどこにあるのか、庭にどんなものを置いているか、どこにどんな木が生えているのか・・・

自分がこの家に侵入するなら、どこを狙うか考えてみてください。少し、怖くなってきませんか?

 

あなたは田舎で自然に囲まれた静かな暮らしをしているつもりでも、世界中の誰かがあなたの家を簡単に見ることができるのです。

 

情報はひとり歩きを始める

さらに言えば、現代は過度なまでに情報化が進んでいます。地図に限らず、様々な情報を簡単に手に入れることができます。

 

個人や地域のグループで発信しているブログやSNSは、本当に自分たちだけが見ているものでしょうか。どんなイベントがいつ行われて、どういう人が参加しているのか、誰でもが見られるようになっていないでしょうか。

たとえば、SNSの内容を拡散してくれた友人は、善意だったかもしれません。ただ、それを見た人が情報をどう利用したか、もうあなたには知りようがありません。

 

情報は常に流れ続けています。その流れに出してしまった以上、個人がそれを止める手立てはないのです。

 

企業や公共団体の情報漏洩が取り沙汰されます。そういった報道に憤った覚えのある方も多いのではないでしょうか。

しかし、身の回りで起きる犯罪には、自分が積極的に披露してしまった情報が絡んでいることが多いのです。

 

防犯対策の基本は、自分自身が当事者になり得ると自覚することです。〝自分は大丈夫〟〝あれはよそで起きていることだから〟と考えている人が誰よりも狙われるのです。

 

必ず施錠を

どこの地域、どんな住居でも防犯の基本は「戸締り」です。

在宅中でも必ず玄関の鍵を閉めましょう。窓を開ける場合は必要最小限にとどめてください。

 

暑い季節、換気のために玄関も縁側も開け放っておく、というのは田舎ではよく見られる光景です。ですが、これは非常に危険な行為です。

特に少人数でいる時にあちこちの出入り口を開けておくのはやめましょう。高齢者や女性、子供だけが在宅している時も、狙われやすいため注意が必要です。

 

侵入の手口で最も多いのは、「無締り」です。

 

鍵の掛け忘れが狙われる!|令和4年

 

警察庁「犯罪統計書 令和4年の犯罪」(2023年11月)をもとに作成

 

統計上、「手口」に分類されていますが、実際には住人の落ち度とも言えます。これが全体の半数を占めているのです。

反対に言えば、ただ普通に鍵を掛けていさえすれば、侵入窃盗は半減できる、ということでもあります。

 

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侵入犯が狙うのは「入りやすく出やすい家」です。

初めから扉が開いているなら、こんなに簡単に出入りできる場所はありません。

音がすることがなければ誰も気が付きませんし、堂々と出入りしてしまえば外から見ても不審には見えないかもしれません。もし、見つかりそうになっても、あちこちが開いているのなら、簡単に逃げることができます。

 

また、庭や農地へ出る際も、施錠を行う習慣を付けましょう。近所の家を訪ねるなどの「ほんの少し」の外出も同じです。

家を少しでも離れる場合は、窓や戸を閉めて、鍵を掛けること。そのときの閉め忘れを防ぐためにも、多くの開口部を開けておくのは危険なのです。

 

 

防犯グッズに頼ることも考えて

家にいる人数、地域に暮らす人数が減ってしまうと、どうしても人間の力だけでは監視に限界が来てしまいます。また、一日中、悪意を持った来訪者を警戒し続けるのも、好ましくありません。

 

現在では、ホームセンターやネットから、手軽に防犯グッズを手に入れられるようになりました。セキュリティシステムの中にも、工事の必要がなく、力の弱い方でも簡単に設置できるものも多くあります。

 

人が入ることのできる大きさで、あまり使わない部屋にある窓から対策しておくことをお勧めします。

鍵を閉めるのはもちろんですが、ガラスを破られにくくする、鍵を二重にする、大きく開かないようにストッパーを付けるなど、取り入れやすいものから始めてみましょう。

 

防犯センサーの中には、異常を検知するとスマホのアプリやメールでお知らせをしてくれるものもあります。出かけているときはもちろん、就寝中などに人の少なくなる部屋で起動させることも可能です。

 

 

また、近隣で異変を感じたときは、迷わずに警察や行政の窓口に連絡しましょう。

空き巣などの侵入窃盗犯は、事前に下見に訪れるとされています。見慣れない車や自転車を見かけたり、見覚えのない人が歩いていた場合は、疑ってみることも必要です。

 

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本記事では、
防犯コンサルタントで元警視庁公安捜査官の松丸俊彦さんに
アドバイスをいただきました。

松丸さんのX(旧Twitter)では、
防犯に役立つ情報が更新されています。
ぜひ、参考になさってください。

 

 

 

 

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