焼き破り、こじ破り、打ち破りとは?ガラス破りの手段と対策
侵入窃盗犯は、窓や出入口から屋内に進入してきて窃盗を行います。扉も窓も施錠されていて合い鍵がない場合、侵入窃盗犯の多くは、ガラス破りと呼ばれる「窓ガラスを壊す」方法をとることになるでしょう。扉を壊すよりも、窓を壊すほうが簡単だからです。
ガラス破りには、焼き破り、こじ破り、打ち破りといった手段が挙げられます。ここでは、これらの手段がどのようなものなのか、対策と併せて解説します。
ガラス破りとは?
ガラス破りとは、ガラスを破壊して侵入する手段全般を指す言葉です。「破る」というと、紙のような薄い物をイメージしがちですし、ガラスは「割る」物と思われるかもしれませんが、破るという言葉には、本来の形を壊すという意味があります。また、「守りを突破する」といった意味で使われることもあります。
まずは、ガラス破りの具体的な手段について見ていきましょう。
焼き破り
焼き破りとは、侵入窃盗犯が施錠された窓ガラスを割る際に使う手段のひとつです。バーナーなどでガラスをあぶって熱し、その後、水や瞬間冷却スプレーで急速に冷やすことでガラスを破損させます。
そもそも、ガラスは急激な温度変化に強くありません。耐熱ガラス以外のガラスの器に熱いお茶を注ぐ人はいないでしょう。また、熱したガラスを水で洗ってはいけないというのは多くの人の共通認識です。
これは、ガラスを急激に冷やすことで一部のみが収縮し、その部分に力がかかって割れてしまうためです。この性質を犯罪に利用しているのが、焼き破りです。その上、温度変化によって割れるガラスは、割れる際の音がほとんどしません。グラスを床に落としたときと、熱いグラスを洗ってしまって割れたときでは、音の大きさがまったく違うのです。これは、人目を避けたい侵入窃盗犯にとっては大きな利点です。
また、焼き破りはわずか15~20秒程度で窓ガラスを割ることができ、ピッキングやサムターン回しのように特別な技術が必要ではないため、特殊技術のない犯罪者でも容易に実行できてしまいます。
こじ破り
こじ破りは、マイナスドライバーを窓ガラスとサッシの境に打ち込むことで、錠前付近のガラスを破壊するガラス破りの手段です。こじ破りは、窓全体を割るのではなく、錠前部分だけを小さく割り、そこから手や指を差し入れて鍵を開けるという特徴があります。
焼き破りに比べると多少のコツはいるものの、それほど特殊な技能は必要としません。また、こじ破りも、短時間でガラスを割ることができ、音もそれほど大きくないことから、利用されることの多い手段です。
なお、こじ破りは、窓だけでなく、扉に対して行われることもあります。扉は窓よりも厚みがあることから、バールなどを扉とドア枠のあいだに打ち込み、てこの原理で無理矢理こじ開けます。このような方法も、こじ破りの一種となります。
打ち破り
打ち破りとは、ドライバーやバールといった道具で、ガラスに強い衝撃を与えて力任せに破壊する手段です。破壊した部分から手を入れて、ガラス窓の鍵を開けて侵入します。
打ち破りは非常に大きな音が出る反面、技術が不要でスピーディーに行えるため、人目を気にしない犯罪者が使います。
窓ガラスは狙われやすい!
侵入窃盗犯は、出入口や窓など、さまざまな所から家の中への侵入を試みます。
下図は、空き巣などの侵入窃盗犯がどこから忍び込んできたのかを示すグラフです。
■侵入窃盗犯の侵入経路
※警察庁「令和4年の刑法犯に関する統計資料」(2023年8月)をもとに作成
戸建てか共同住宅かにかかわらず、侵入窃盗犯のほとんどは、窓か表出入口から侵入してきます。
続いて、侵入窃盗犯の侵入手段を示したグラフも見てみましょう。
■侵入窃盗犯の侵入手段
※警察庁「令和4年の刑法犯に関する統計資料」(2023年8月)をもとに作成
最も多い侵入手段は「無締り」となっています。これは、出入口や窓の鍵をかけずにいたところを狙われたケースです。施錠は防犯対策の基本ですから、まずは戸締まりをしっかりすることを意識することが大切です。
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その上で、追加の防犯対策をするのであれば、戸建てや3階建て以下の共同住宅で2番目に多い侵入手段である、「ガラス破り」対策を優先的に行う必要があります。
なお、4階建て以上の共同住宅では、侵入手段がガラス破りよりも合い鍵が多くなっていますが、これは高層階の住宅は窓へのアクセスがしづらいためであると考えられます。ただし、4階以上であっても、10%程度はガラス破りが行われています。犯罪者は、雨どいや植栽、外壁塗装中の足場など、さまざまな物をつたって侵入を試みてきますから、「4階以上だからガラス破りの心配はない」と油断しないようにすることが大切です。
ガラス破りを防ぐ窓の防犯対策
侵入窃盗犯は、できるだけ短時間で、簡単に破れる窓を狙います。そのため、たとえ窓ガラスを完全に割れなくすることができなくても、「時間をかけないと割れない」「面倒」と思わせることができれば、犯罪に遭うリスクを軽減できるのです。
続いては、ガラス破りを防ぐために行いたい窓の防犯対策をご紹介します。
防犯ガラスにする
防犯ガラスとは、ガラスとガラスのあいだに特殊な膜を仕込むことで、割れにくくしたガラスのことです。このようなガラスは破壊に時間がかかることから、侵入をあきらめさせる効果が期待できます。さらに、防犯ガラスには、性能を示すステッカーが貼られることから、そもそも侵入窃盗犯から狙われにくいといったメリットもあります。
また、防犯ガラスの中には、焼き破りに対応した「耐熱強化ガラス」もあります。耐熱強化ガラスは熱にも強いため、温度変化によってガラスを破る、焼き破り対策として効果的です。
防犯フィルムを貼る
防犯フィルムも防犯ガラスと同様に、窓の強度を上げる効果が期待できる対策です。
防犯フィルムは、既存の窓ガラスに貼ることで効果を発揮します。ホームセンターなどでも販売されているため、手軽に入手できますし、施工も防犯ガラスへの交換に比べて簡単です。
ただし、防犯フィルムにも種類があるため、商品選びは慎重に行いましょう。市販のフィルムは、目隠し程度の強度しかない場合もあります。防犯性能を重視するのであれば、防犯性が高いことを示す「CPマーク」のついた認定商品を選び、プロに依頼して貼りつけてもらうのが確実です。
なお、一度貼った防犯フィルムは、簡単にははがれません。賃貸物件で利用する際は、商品説明などを確認の上、不安であれば管理会社に確認してから使用してください。
人感センサーライトをつける
人感センサーライトとは、人の熱に反応して点灯するライトのことです。通常の窓の外に設置するのは現実的ではありませんが、ベランダからの侵入を防ぐには効果的です。
ベランダの掃き出し窓(天井近くの高い位置から床まである大きな窓)は、サイズが大きく、狙われやすい場所だといえます。ベランダに人感センサーライトを設置すると、夜の闇に紛れて侵入を試みた窃盗犯を威嚇することが可能です。後ろめたいことをしている人というのは灯りを嫌いますから、人感センサーライトで照らされることで、そのまま逃げてくれる可能性が高まるでしょう。
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防犯ブザーをつける
窓用の防犯ブザーには、窓とサッシに取りつけて開閉を検知するタイプと、窓の振動を検知するタイプ、両方を兼ね備えたタイプがあります。
防犯ブザーは、開閉や振動などの異常を検知すると、大音量のブザーを鳴らします。人に見られたくない侵入窃盗犯にとって、これは大きな脅威です。
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補助錠をつける
後から窓に取りつけられる補助錠も、有効な対策のひとつです。鍵の数が多ければ、その分侵入するのが困難になります。
窓を割る手段は、多くの場合、割った所から手を差し入れて鍵を開けます。ところが、補助錠がついていると、その分、広範囲のガラスを割らなければいけなくなりますから、手間が増え、犯罪者に避けられやすくなるでしょう。
また、取りつけや取り外しがしやすいことから、賃貸物件でも手軽に使える点もメリットです。
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外出先からでも家の様子がわかるSecualの防犯対策
窓の防犯対策のひとつに、防犯ブザーがあります。しかし、外出中に防犯ブザーが作動して不審者の侵入を防げたとしても、帰宅してから異変に気がつくのは気持ちが悪いものです。
その点、Secualの防犯センサーなら、異常を検知した際にすぐに指定のアドレスへ通知が来ます。外出中であっても、不審者が侵入したかもしれないとわかれば、すぐに帰宅して対処することができるでしょう。
Secualの防犯センサーの仕組み
窓に取りつける「開閉センサー」は、窓の開閉や振動を検知すると、「Wi-Fi ゲートウェイ」が即座に侵入者への警告ブザーを鳴らし、あらかじめ登録した連絡先へ異変があったことを知らせます。
Secualの防犯システムでは、センサーとWi-Fi ゲートウェイを連動させることで、スマートフォンを使った遠隔管理を可能にしました。外出先から自宅の様子を確認できますし、過去の通知の確認や、セキュリティのオンオフ、作動したブザーの停止などをスマートフォン用アプリから一括して行えます。
さらに、Secualの開閉センサーは窓の開けっぱなしも検知するため、窓を開けたまま忘れて外出してしまうリスクも低減できます。
Secualの防犯センサーの設置方法
Secualの開閉センサーは、窓と窓枠に貼りつけるだけで設置が完了します。Wi-Fi ゲートウェイもコンセントに挿し込むだけですから、機器類に詳しくない人でもすぐに設置できます。
また、工事をする必要がないため、業者に依頼したり、リフォームの許可をとったりする手間もかかりません。機器類が届いたその日から、防犯システムを稼働できます。
侵入窃盗犯のガラス破りに備えよう
侵入窃盗犯はガラス破りを行う際、乱暴に窓を破壊して入り込んでくるだけでなく、焼き破りのような音の出ない巧妙な方法を使って侵入を試みてくることもあります。
ガラス破りの被害をできる限り防ぐために、窓の防犯対策を見直してみましょう。
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高齢者が犯罪に巻き込まれるケースは年々増えています。犯罪者は弱者を狙っているからです。高齢の方が気を付けるのはもちろんですが、周りの家族や近所の方にもできることはあります。過疎化・高齢化には多くの社会課題がありますが、犯罪被害もその一つに挙げられます。一人ひとりが課題に取り組み、防犯対策を考えることが重要です。