近年、店舗や事業所を狙った侵入窃盗事件が後を絶ちません。一瞬の隙を狙われ、大切な商品や機器、さらには顧客の個人情報まで盗まれてしまうケースが増加しています。こうした犯罪は、経済的損失だけでなく、事業の信用や従業員の安全にも深刻な影響を及ぼす可能性があります。
警察庁の統計によると、事務所荒らしは侵入窃盗全体の約8%を占めており、決して軽視できない問題となっています。特に、休日や夜間に無人となるビル、人通りの少ない場所、セキュリティが手薄な施設が狙われやすい傾向にあります。
本記事では、店舗や事業所における侵入窃盗の実態を詳しく解説するとともに、効果的な防犯対策について具体的に紹介します。経営者や従業員の皆様が、自社の安全を守るために必要な知識と対策を学べる内容となっています。
犯罪から店舗や事業所を守ることは、単に財産を守るだけでなく、従業員や顧客の安全を確保し、事業の継続性を維持する上で極めて重要です。この記事を通じて、皆様の事業所のセキュリティ向上にお役立ていただければ幸いです。
侵入手段・手口は?
休日や夜間に無人になるビル、人通りが少なくなる場所、セキュリティが手薄なビルが特に狙われやすい傾向にあります。侵入する手口は大きく分けて5つあります。
営業時間中の侵入
最も一般的な手段で、客を装って入店し、従業員や他の客が少ない時間帯を狙って犯行に及びます。特に開店直後や閉店間際が狙われやすい傾向にあります。
閉店後の侵入
ドアや窓のこじ開け、ガラスの破壊、サムターン回し、合鍵の使用、などの手法で侵入を試みます。最近では、車両を店舗に突っ込んで侵入するという大胆な手口も増加しています。
屋根や壁からの侵入
建物の構造的な弱点を利用して、屋根や壁から侵入するケースも報告されています。特に古い建物や防犯設備が不十分な店舗が狙われやすいです。
従業員を装った侵入
制服や身分証を偽造し、従業員を装って入店する手口も見られます。この手法は内部情報を持つ元従業員が関与しているケースが多いとされています。
配達や業者を装った侵入
宅配業者や設備点検業者などを装い、店舗内に侵入するケースも増加しています。特に大型店舗や複合施設でこの手口が使われることがあります。
侵入窃盗などによる被害・リスクは?
侵入時に狙われやすいものは現金、金庫、OA機器、電子機器、個人情報、機密情報など、侵入された場合の被害の影響は、経済的損失や人的被害まで様々です。
経済的損失
現金や商品の盗難による直接的な損失、破壊された設備や什器の修理・交換費用、営業停止による売上の減少などが挙げられます。
※セキュリティシステム導入時に、設置物件に侵入が確認され警察に被害届が受理された場合、見舞金をお支払いするサービスもあります。
従業員や顧客の安全性への脅威
営業時間中の強盗事件による人的被害に加え、夜間や早朝の侵入は従業員が遭遇し、二次被害に遭う危険性があります。
信用・評判の低下、法的責任と補償
セキュリティが脆弱だと認識されることによる顧客離れ、取引先や金融機関からの信用度の低下なども懸念されます。
また顧客情報流出時の損害賠償責任、従業員の安全確保義務違反による法的責任などもリスクとして挙げられます。
再発防止のためのコスト
セキュリティシステムの強化や更新にかかる費用、従業員教育や訓練のための支出も必要となります。
効果的な防犯対策
防犯カメラの設置
適切な場所にカメラを設置することで、侵入窃盗による被害を大幅に軽減できます。最新の4K高解像度カメラは、顔や車のナンバーを鮮明に捉えることができ、犯罪の抑止力となるだけでなく、事件発生時の証拠としても極めて有効です。さらに、AI機能を搭載したカメラシステムは、不審な動きを自動検知し、即座にアラートを発信することができます。
セキュリティシステムの導入
警報装置や監視システムの設置が効果的です。モーションセンサーやガラス破壊センサーなどを適切に配置することで、侵入者を早期に発見し、警報を発することができます。これらのシステムは、店舗経営者のスマートフォンなどに通知がくるため、迅速な対応が可能となります。
店舗レイアウト、照明の改善
死角を減らし、見通しの良い空間を作ることで、犯罪者に「常に監視されている」という意識を持たせることができます。また、適切な照明計画により、夜間でも十分な視認性を確保することが重要です。
従業員教育
どんなに優れたシステムを導入しても、それを運用する人間の意識が低ければ意味がありません。従業員教育は防犯対策の要となります。定期的な防犯セミナーの開催や、実践的なロールプレイング訓練を通じて、従業員の防犯意識を高め、緊急時の適切な対応能力を養うことが重要です。
まとめ
最後に、これらの対策は一度導入して終わりではありません。定期的なセキュリティ監査や、リスクアセスメントを実施し、常に最新の脅威に対応できるよう、継続的な改善を行うことが重要です。店舗や事業所のセキュリティ対策は、単に財産を守るだけでなく、従業員や顧客の安全を確保し、事業の継続性を維持する上で極めて重要です。最新のテクノロジーと人的な対策を適切に組み合わせ、総合的なセキュリティ体制を構築することが、今日の店舗、事務所の防犯対策に求められているのです。